2021.12.06|その他
鳥インフルエンザの記事をみて
今朝の熊本日日新聞の記事。
熊本県内で発生した鳥インフルエンザで、肉養鶏約6万6千羽の殺処分や埋却など防疫措置が完了したそうです。
その記事を読んで、昔のある記憶がよみがえってきました・・。
ちょうど8年ほど前のこと。
私が熊本県職員だった当時、同じく県内で鳥インフルエンザが発生した際に、防疫作業に従事しました。
その時のことは、今でもはっきりと覚えています。
新しい職場に異動してきたばかりの4月、県南で鳥インフルエンザが発生したとの一報があった翌朝、上司から若手職員数名が呼ばれました。
「今日、バスで現地に移動して防疫作業にあたってもらいます」
当時、関係する部局には配属されていませんでしたが、全庁体制で動いているのでそんなのは関係ありません。
バスに乗って行く予定が、満席で座れなかったので、急きょ自家用車で現地に向かいました。
対策本部についた後、既に現場に入っている職員との交代時間まで待機することに。
あたりはすっかり日が落ちて暗くなっています。
TVで観たことはあるけど、はじめて着る防護服、マスク、ゴーグル。
すべて身につけて現場の鶏舎に向かうと、既に鶏の殺処分が完了したところでした。
自分の役割は、空になった鶏舎から鶏ふんや土をかき出すこと。
鶏舎内を消毒するために必要なようです。
足元に30センチほどの厚さで積もった鶏ふんを人力でかき出す重労働に加えて、マスクを素通りしてくる強烈な臭い、視界が悪すぎるゴーグル。
天井から白熱電球が下がった薄暗い鶏舎の中、スコップで掘っても掘っても出てくる鶏ふんの山。
肉体的に相当ハードでしたが、応援に来ていた自衛隊員の仕事ぶりを見て「さすが自衛隊員は鍛えているだけあって頼りになるなぁ」と感心しました。
数時間の作業を終え、次の人員と交代することに。
周りの職員も全員防護服を着ているので、誰が誰かすぐには判別できないんですが、皆一様に疲労困憊なのがわかりました。
自分の役割もハードなのに、先に入って鶏の殺処分にあたった職員の精神的な負担は、相当だっただろうなと思います。
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新聞記事だけではどうしても伝わりにくいですが、その向こう側では多くの県職員、自衛隊員などがやるせない思いを抱えながら役割を全うしていること。
そして、大切に育ててきた鶏を全て殺処分せざるをえなかった養鶏農家の苦悩がいかばかりかということ。
そんな過酷な状況で封じ込め作業にあたっている方々がいたことを知ってもらえたらと思います。

梶原耕藝 代表梶原甲亮(かじわらこうすけ)
1976年生まれ(43歳)。熊本県山都町在住。代々続く農家の7代目。九州大学法学部政治学科を卒業して熊本県庁に就職。子供が生まれ、食への関心が高まると共に「安心安全な食べ物を届けたい」「農業を夢のある仕事にしたい」という想いでUターン。現在、3兄弟の父親として日々学びながら農業を取り組んでいます!
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