2023.05.06|農家の日常
天敵農薬「タバコカスミカメ」の効果
熊本のトマト農家、梶原耕藝です。
トマト農家を悩ますある病気の予防法。
その答えは、自然界にいる虫たちが持っている。
トマトの害虫の1つに「コナジラミ」という小さな虫がいます。
体長は1mm程度と小さいんですが、トマト農家にとっては本当に厄介な存在。
なぜなら、「トマト黄化葉巻病」という病気の病原になるウイルスを媒介するから。
この病気にかかると治すことは不可能です。
生長点が縮んだようになって実をつけることもないので、ハウス内から株ごと撤去するしか方法がありません。
小さな虫なので、防虫ネットで侵入を防ぐのも困難。
通常は、薬剤をつかって防除するしかありません。
でも、可能な限り薬剤は使いたくない。
そこで今年から、天敵農薬を使うことにしました。
コナジラミ退治の重要な役割を担うのは
「タバコカスミカメ」
というカメムシの一種。
自然界に自生している虫で、トマトの葉にくっついているコナジラミの幼虫や成虫を捕食してくれます。
効果を大きくするためには、タバコカスミカメの個体数を増やす必要がありますが、そのためにクレオメという植物の種をまいて育てています。
クレオメが生長する
→タバコカスミカメが集まる
→増殖したタバコカスミカメがコナジラミを捕食
→コナジラミの個体数が減少
という効果を期待しているのです。
こういう、トマトにとってのクレオメのような、天敵を増やしてくれる植物のことを
「バンカープランツ」
といいます。
農薬の使用回数も労力も減らせるので、まさに一石二鳥。
ただ、クレオメの種まきをしてからようやく本葉が大きくなり始めたところ。
生長スピードがゆっくりなので、コナジラミが増える時期に間に合うのかがちょっと心配です。。。
梶原耕藝 代表梶原甲亮(かじわらこうすけ)
1976年生まれ(43歳)。熊本県山都町在住。代々続く農家の7代目。九州大学法学部政治学科を卒業して熊本県庁に就職。子供が生まれ、食への関心が高まると共に「安心安全な食べ物を届けたい」「農業を夢のある仕事にしたい」という想いでUターン。現在、3兄弟の父親として日々学びながら農業を取り組んでいます!
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