梶原耕藝

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2020.05.03|農家の日常

トマトの定植カウントダウン・・・始まる

とうとう一番花が開花しはじめました!

この一番花が開花したときが定植のタイミングです。

定植のタイミングがこれより早すぎたり、逆に遅すぎたりすると、その後のトマトの生育に大きく影響が出ます。

なぜ、早くても遅くてもいけないのか。

それには、トマトという植物の成長のしかたに理由があります。

栄養生長と生殖生長

植物には「栄養生長」と「生殖生長」という2つの生長があります。

栄養生長は、茎や葉など自分の体をつくる生長で、生殖生長は花や実など子孫を残すための生長をいいます。

2つの生長は、どちらかに偏ってしまうともう片方が疎かになってしまうという関係にあります。

たとえば、栄養生長が強くなると、茎や葉は丈夫になりますが花や実がつかなかったり、ついても小さかったりするので、当然ながら収量にも大きく影響します。

トマトの場合は、最初は栄養生長により茎や葉を大きくしていきますが、一番花が開くころに生殖生長も行われるようになります。

栄養生長に偏った場合

植物が生きる理由は、花をつけ実をならせて子孫を残すことです。

植物自身の生存が脅かされる状態になればなるほど、早く子孫を残そうとして生殖生長が強くなります。

定植のタイミングが早すぎると、根をぐんぐん伸ばしもっと茎や葉を大きくする方に作用するので、俗にいう「樹が暴れる」状態になります。

「生存が脅かされてないから、もっと体を大きくしよう!」と考えるんでしょうね。

生殖生長に偏った場合

逆に、定植のタイミングが遅すぎると、茎や葉が十分に育たない方に作用します。

見た目も弱々しくなります。

「何とか生きているうちに子孫を残さなければ!」と考えて、弱々しい体にムチを打って花を多くつけたりします。

2つの生長のバランスが重要

トマトの状態を毎日観察しながら、栄養生長と生殖生長のバランスがとれた状態を保ち続けるのが、トマト農家にとって極めて重要な作業です。

バランスを保つのはなかなか難しく、私もいつでも完璧にできるわけではありません。。。_| ̄|○

どちらかというと、生育初期はやや栄養生長に偏っているなーと思うことが多いです。

かといって、バランスを元に戻そうと肥料を与えないでいると、肥料切れを起こして急に樹勢が落ちたりするので、とにかく日々の観察が欠かせません。

あと2~3日で一斉に開花しはじめるので、一気に定植をしていきます。

けっこう大変な作業ですが、トマトが成長していく過程を観察するのって子どもを育てている感覚に近くて、とてもおもしろい(^^)

まあ、真夏になると暑くてそうも言ってられなくなるのですが・・・(;’∀’)

よし!今年もおいしいトマトづくりに精進したいと思います!

梶原耕藝 代表梶原甲亮(かじわらこうすけ)

1976年生まれ(43歳)。熊本県山都町在住。代々続く農家の7代目。九州大学法学部政治学科を卒業して熊本県庁に就職。子供が生まれ、食への関心が高まると共に「安心安全な食べ物を届けたい」「農業を夢のある仕事にしたい」という想いでUターン。現在、3兄弟の父親として日々学びながら農業を取り組んでいます!

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