梶原耕藝

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2025.05.15|農家の日常

標高632mの畑は、あの高さと同じだった

私のトマト、実はあの有名な◯◯◯と同じ高さでつくられたものでした。

ミニトマトを栽培する圃場は、標高632メートルの高原地帯にあります。

この数字、ピンと来ない方も多いかもしれませんが、実はあの東京スカイツリーのてっぺん(約634m)と、ほぼ同じ高さなんです。

高さ日本一を誇るあの東京スカイツリー。

タワーの高さとしては世界一です。

そのてっぺんと、私たちが毎日トマトを育てている場所の標高が、ほぼ同じ。

実際にその事実に気づいたときは、ちょっと驚きました。

都市のランドマークと、地方の山の上が“同じ高さ”にあるという感覚は、なんとも不思議なものです。

この標高は、高冷地の農業にとって、非常に重要な意味を持ちます。

まず、昼夜の寒暖差が大きい。

日中は陽射しが強く、夜は一気に気温が下がる。

この温度差が、ミニトマトに甘みとコクを与えてくれます。

標高が高いことで得られる自然の力が、味の差別化につながっています。

また、空気も澄んでいて、水源が近く、湧水や山の水を使えるのも中山間地の強みです。

他にも標高の高い農地といえば、長野県の高原野菜地帯、八ヶ岳南麓のレタスやキャベツが有名ですね。

これらの土地に共通するのは、標高が「味」や「品質」に影響を与える重要な条件だということ。

つまり、「標高」は単なる地理的な数字ではなく、農業における“自然の技術”とも言えます。

東京スカイツリーが“情報や電波を届ける塔”だとすれば、私の標高632mの圃場は“自然の恵みを届ける場所”。

同じ高さでも、役割はまったく違います。

でも、どちらも空に近い場所で、誰かの暮らしを支えている。

そう思うと、ちょっと誇らしい気持ちになります。

梶原耕藝 代表梶原甲亮(かじわらこうすけ)

1976年生まれ(43歳)。熊本県山都町在住。代々続く農家の7代目。九州大学法学部政治学科を卒業して熊本県庁に就職。子供が生まれ、食への関心が高まると共に「安心安全な食べ物を届けたい」「農業を夢のある仕事にしたい」という想いでUターン。現在、3兄弟の父親として日々学びながら農業を取り組んでいます!

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