梶原耕藝

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2020.06.01|農家の日常

緊張の時間「Uターン誘引」

「アァー!しまったー!!」

「そんな無理させたつもりなかったのに~😞」

毎年今の時期になると、畑のどこからか叫び声が響きます。

なぜなら、緊張を強いられる作業が待っているからです。

うちのトマトは2本仕立て。

主枝とは別に、側枝を1本伸ばして収量を増やします。

側枝が伸びてくると、枝が広がって全体がYの字をした草姿になります。

なので、そのままだと隣のトマトの枝とぶつかってしまう。

そこで、側枝の方をUターンさせてあげて、主枝と同じ方向に伸びていくように整枝する作業が必要なわけです。

で、このUターン誘引が難しい。

反対方向に曲げるわけですから、一歩間違うと・・・

「ボキッ」

といってしまいます。

折れないように慎重にひねりながらそーっと曲げる・・・

「これくらい曲げても大丈夫だろう」と思いながら。

なのに「ボキッ」と折れると、おもわず叫び声をあげてしまいます。

遠くから「キャー」と聞こえてきたら、

「あー、また嫁さん折ったな」

とわかるわけです。

嫁さんのところに行ってみると、案の定、折れた茎を支えている。

嫁さんが「ちょっと待ってて」と言うので、代わりに支えて待っていたら、手に持っているのは絆創膏。

私「ちょっ・・それ、ばんそうk・・」

嫁「あー大丈夫大丈夫」

そう言うと、嫁さんは慣れた手つきで折れた箇所に絆創膏をクルッと巻く。

嫁「ほら、結構イケるでしょ。なんか人間がケガしたみたいね、ハハハ」

私「・・・」

嫁はそう笑うと、また作業に没頭していくのでした。

(完)

梶原耕藝 代表梶原甲亮(かじわらこうすけ)

1976年生まれ(43歳)。熊本県山都町在住。代々続く農家の7代目。九州大学法学部政治学科を卒業して熊本県庁に就職。子供が生まれ、食への関心が高まると共に「安心安全な食べ物を届けたい」「農業を夢のある仕事にしたい」という想いでUターン。現在、3兄弟の父親として日々学びながら農業を取り組んでいます!

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