梶原耕藝

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2025.05.10|農家の日常

「農業の担い手不足」よりも「〇〇〇の担い手不足」が深刻だって話

よく耳にする「農業の担い手不足」という言葉。

その多くは、米や野菜や果物を育てて販売する「生産者」が減っていることを指してます。

しかし、もっと深刻なのは、「農作業の担い手不足」ではないかということ。

たとえば、田んぼのあぜや道周りの草刈り、用水路の泥上げ、畦の補修、獣害対策のネット張り…。

これらは収入にならない、いわば「無償の作業」。

にもかかわらず、地域全体の営農や農村の暮らしを支えている、極めて重要な作業でもあります。

特に中山間地では、用水路が詰まれば農地が使えなくなるし、草が伸びればイノシシが隠れる場所となって被害が広がる。

生産以前の「地域の維持活動」が破綻すれば、農業どころか、暮らしそのものが立ちゆかなくなります。

かつては、農業者が地域の共同作業を担っていた。

しかし、今では高齢化とともに、そうした作業を担える人が本当に減ってきました。

そこには「農家が減っている」のではなく、「農作業をする人がいない」という現実があります。

スマート農業の導入も進んでいますが、こうした”地味で報われにくい作業”は、技術でも金銭でも簡単には代替できない。

地域に根ざした人の「手」と「時間」が必要です。

これから、農業だけでなくあらゆる業種で大幅な人手不足になるのだけど、中山間地域の営みそのものを維持できない未来がそこまでやってきています。

「農業をやる人がいない」なんかより、「農作業を支えてくれる人がいない」ことの方がずっと深刻なんだという実感でした。

梶原耕藝 代表梶原甲亮(かじわらこうすけ)

1976年生まれ(43歳)。熊本県山都町在住。代々続く農家の7代目。九州大学法学部政治学科を卒業して熊本県庁に就職。子供が生まれ、食への関心が高まると共に「安心安全な食べ物を届けたい」「農業を夢のある仕事にしたい」という想いでUターン。現在、3兄弟の父親として日々学びながら農業を取り組んでいます!

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